大館市トップ市長の紹介所信表明(平成11年6月議会定例会)

所信表明(平成11年6月議会定例会)


 私は、このたびの統一地方選挙において、市民の皆様の信任をいただき、三たび市政を担当することとなりました。これまでの過去8年間の市政に対する御支援、御協力に対しまして、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。

 本日、平成11年6月議会定例会の開会に当たり、市政を預かる立場にある者として、選挙公約として市民の皆様に約束してまいりました市政運営についての所信の一端を申し上げ、市議会並びに市民の皆様の一層の御支援と御協力をお願い申し上げたいと存じます。

 私はこれまで、「行政の究極の目標は、市民の福祉の向上にあり」と初出馬以来、一貫して申し上げてまいりました。常に時代の変化に機敏に対応できるよう国、県とも連携をとりつつ、「市民と語る会」等を通じ、市民の皆様の貴重な御意見や御提言を賜りながら、21世紀に向かって飛躍発展する「自然と調和し、市民相互の連帯に支えられた理想的な中核都市」の基盤づくりのため全力を挙げて取り組んでまいりました。
 おかげさまで、これまでの8年間、取り組んでまいりました主要なプロジェクトにつきましては、幸いにして一定の目処をつけることができました。これもひとえに、市議会並びに市民の皆様の御支援と御協力の賜物であると深く感謝申し上げる次第であります。

 さて、我が国の経済は、平成9年度・10年度と2年連続のマイナス成長という戦後最悪の不況に陥っており、経済国難というべき状況にあるといわれております。
 この不況を絶ち切るため政府は、昨年11月に約17兆円の緊急経済対策を実施することとし、第3次補正予算のもとで切れ目なく景気回復策を実施しております。平成11年度予算におきましては、公共事業や中小企業対策、雇用対策に配慮し、前年度に比べて10%を超える予算の伸びを確保したことにより、本年度は約0.5%程度の経済成長が見込まれるものと伺っております。
 しかしながら、本市を取り巻く最近の経済状況を見てもおわかりのとおり、住宅の着工数がやや上向くなど、一部回復のきざしが見えますものの、金融不安、雇用不安等により家計の消費や企業の設備投資はいまだ低調であり、景気回復の力強さを印象づける程の好材料とはなっておらないことなどから、先行きにつきましては依然厳しいものと認識しております。
 更には、減税による地方税や地方交付税の原資となる国税の落ち込みなどにより、地方財政は引き続き大幅な財源不足の状態にあり、地方自治体の行財政運営は一層の厳しさを増しているところであります。
 また、地方分権法が平成12年4月1日から施行される予定でありますが、国・県から権限の委譲がなされる中で、地方は地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担うこととなり、これまで以上に厳しい行財政運営が要求されるところであります。
 このような状況に加えて、21世紀を目前に控え、今日の地方自治体を取り巻く社会環境の変化にも著しいものがあります。人々の価値観の多様化や地球環境に対する問題、少子化による人口の減少、高齢化社会の到来、高度情報化社会の進展など、時代はまさに大きな転換点にあり、いま地方自治体が取り組まなければならない課題は山積しております。
 このため、本市が21世紀に向かって発展するためには、自らの責任において社会経済情勢の変化に柔軟かつ弾力的に対応できるよう体質を強化することが極めて肝要であると考えており、昨年定めた第二次大館市行政改革大綱を積極的に推進しながら、地方分権の時代にふさわしい、簡素で効率的・総合的な行政システムを確立して、この厳しい時代に対応してまいる所存であります。

 次に、市の行政運営の柱となります大館市総合開発計画についてであります。
 国におきましては、昨年、新・全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」を策定し、豊かな生活の源泉である経済社会の活力を維持しながら、その恵みによって人間を癒すものである自然を保全し回復するとともに、人間の行うあらゆる活動に、豊かな充実感と生きる意味を与える文化を創造し、人々に多様な暮らしの選択可能性を提供することのできる国土の構築を打ち出しているところであります。
 また、県におきましても、20年後の秋田県のあるべき姿を展望し、2010年までに進むべき方向や目標を分野別・地域別に明らかにする新・総合発展計画の策定作業に取り組んでおります。今後、地域懇談会や総合開発審議会で意見を集約し、平成12年度からの10年間の総合発展計画が平成12年1月には決定されるようであります。
 本市におきましても、平成13年度から平成22年度までの新たな総合開発計画であります「第4次大館市総合開発計画」の策定を進めてまいるわけでありますが、21世紀の懸け橋として取り組んでまいりました第3次大館市総合開発計画が一定の成果をあげてきておりますことから、この第3次計画の継続を図りながら、国の「21世紀の国土のグランドデザイン」や、県の「新・総合発展計画」との整合性を取って、21世紀に大きく躍進する大館市を念頭に策定を進めてまいりたいと考えております。

 さて、過去8年間、皆様の御支援をいただきましたお陰で、5大プロジェクト、3大対策に一定の目処がつきました今、先の選挙公約でも再三にわたり申し上げてまいりましたように、今後とも市民の視点に立った行財政運営を基本としながら、私は21世紀に向けた市政運営を、「わがまち21世紀への創造」として、次の「五つの創造」を柱にしてまいる所存であります。
 第一に「生涯にわたり、多様な教育が受けられる教育文化都市の創造」、第二に「農林業の経営基盤が充実し、自立した農林業都市の創造」、第三に「保健・医療・福祉の充実により、多様なニーズに応える総合福祉都市の創造」、第四に「新しい産業を核とし、雇用の確保と市民所得の増大を図る活力ある産業都市の創造」、第五に「環境に配慮した、美しく住みよい環境都市の創造」であります。
 この「五つの創造」に沿って、私の基本的な考えを申し述べます。

 1点目の「生涯にわたり、多様な教育が受けられる教育文化都市の創造」についてであります。
 私の基本理念は、「まちづくりは人づくり」であると考えます。市民一人ひとりが、大館に誇りを持ち、真に充実した生活を送ることができる活力に満ちた地域社会を築くため、生涯学習の場やその機会の充実を図り、市民が等しく学び触れ合うまちづくりに取り組みます。
 これまでも生涯学習には力を注いでまいりましたが、人生85年の時代にあって、豊かな老後や生きがいづくりのため、一層積極的に展開していかなければならないと考えます。
 そのためには「市民が、いつでも、自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が適切に評価される」ような生涯学習システムを構築しなければならないと考えております。
 例えば「一人一資格の取得」の機会の提供であります。具体的には各種技能講座や健康講座、老壮大学、CS放送の受信設備の設置、秋田県生涯学習センターとの連携などが挙げられます。
 また、学校教育環境の整備の充実とともに、スポーツや芸術・文化の振興にも努めてまいります。

 2点目は「農林業の経営基盤が充実し、自立した農林業都市の創造」についてであります。
 農業・農村は、国民生活にとって欠くことのできない食糧の安定供給という大切な使命のほか、地域社会の発展と国土・環境の保全などの重要な役割を果たしております。農業・農村のもつこのような機能を十分に発揮させるため、農業基本法に代わる新しい基本法であります「食糧・農業・農村基本法」を柱としながら、今後とも農業・農村の発展を図っていく必要があります。
 また、ガット・ウルグアイ・ラウンドの合意により、今年4月からは米の輸入自由化と関税化が始まっており、農家経営はこれまで以上に厳しい環境に置かれております。本市の農業も例外ではなく、この国際化時代に生き残るため、その体質を強化しなければなりません。
 そのためにはまず、米の生産性の向上を図る必要がありますことから、大型機械による大幅な省力化のための農業生産基盤整備等を行ってまいります。
 また、農家の高齢化による受委託の増加に対応するために、JAをはじめ関係機関と協議し、農業公社の設立を検討しているところです。さらに、経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的な経営農家の育成と、高収入の農業経営を確立するため、ハウスの団地化や周年型農業など農業の付加価値を高める施策を推進します。そばの産地化も今後の課題の1つであります。
 次に、林業についてであります。
 森林は、木材などの資源を供給するほか、山の崩壊や土砂の流出を防止する働きや、洪水、渇水の緩和、温暖化の原因となる炭酸ガスの固定化、そこを訪れる人々に快適な環境を提供する保健休養の場としての働きなど、公益的な機能を通じて豊かな国民生活の維持に貢献しております。
 しかしながら、木材価格の低迷や、林業従事者の高齢化と減少により、丸太生産や植林、間伐などの林業生産活動は停滞を続けております。
 このようなことから、林道など林業生産を行うための基盤の整備や高性能林業機械の導入を行い、生産性の向上やコストの低減に取り組むとともに、木材乾燥システムの導入による木材の銘柄化を進めるなど、林業経営の活性化に向けた対策を行います。
 また、林業従事者の確保が、林業の活性化には欠かせない訳でありますことから、受け皿としての林業公社の拡充を、今後関係機関と協議し、民有林の管理受託による保育・間伐・伐採までの一連の作業のシステム化を検討します。

 3点目の「保健・医療・福祉の充実により、多様なニーズに応える総合福祉都市の創造」についてであります。
 今日、日本国民の多くが、人類古来の願いである長寿を享受できるようになりました。その一方で、老後の生活に対する不安も広がっております。現在の大館市の高齢化率は22%に達しており、これが平成17年には25%に達する見込みであります。本市の高齢化率は、秋田県平均とほぼ同率でありますが、全国平均よりも15年ほど早いテンポで進んでおります。
 好むと好まざるとにかかわらず、人生85年時代のライフサイクルは大きく変化しつつあります。このライフサイクルの変化に合わせて、健康で生きがいを持ち、充実した生活を送れるよう、高齢者の雇用や就業の促進、高齢者が活動しやすい生活環境の整備などを進めて行かなければなりません。
 これまでは、平成5年度に策定しました「大館市老人保健福祉計画」に基づき、保健・医療・福祉の連携のもと包括ケアシステムをサポートしてまいりました。
 平成10年度には休日夜間急患センターのオープンや、高規格救急車の導入、救急救命士の配置などにより、救急医療の充実を図ってまいりました。
 今年は十二所地区に「北部老人福祉総合エリア」がオープンし、今後、市民の多様なニーズに対応できるような施設として大いに期待されるところであります。
 このように「大館市老人保健福祉計画」のもとで、保健福祉の充実のため、多くの事業に取り組んでまいりましたが、来年度の介護保険制度の実施などを計画に取り込んでいく必要がありますことから、同計画の見直しを今年度中に行い、21世紀の本格的な高齢化社会に向け、市民の多様なニーズに応えられる総合福祉都市を目指す「トータル・ケア・システム」の構築を推進してまいります。
 また、本市の医療の中核をなす市立総合病院のリニューアルにつきましても、患者のアメニティの向上と医療の質の充実のため、早期に実施してまいる所存であります。

 4点目は「新しい産業を核とし、雇用の確保と市民所得の増大を図る活力ある産業都市の創造」であります。
 雇用の確保と市民所得の増大を図るためには、地元企業の育成と企業の誘致が欠かせません。そのためこれまで、市営二井田・花岡両工業団地への企業の誘致に積極的に取り組んでまいりました。平成10年度には県営大館第二工業団地が完成したことにより、立地基盤としての受け皿は一応整ったものと考えており、更なる産業振興を図るために、工業振興と企業誘致を積極的に進めてまいります。
 特に、新たな産業の創出のため、2001年からスタートする家電リサイクル事業などが盛り込まれております「秋田県北部エコタウン構想」の実現を最重要課題と位置づけ、鉱山の技術を活用したリサイクル産業の誘致に積極的に取り組んでまいります。
 本市が北東北のリサイクルの拠点として様々な事業を展開することが、雇用の拡大はもとより、商工業の活性化にも大きく寄与するものと確信しているところであります。
 また、中心市街地活性化事業につきましては、来る7月に計画策定委員会を発足させるとともに、関係団体との意見交換などを行いながら、今年の12月には計画をまとめたいと考えております。

 最後に「環境に配慮した、美しく住みよい環境都市の創造」についてであります。
 現在の大量生産・大量消費社会は、大量の廃棄物を産み出し、ダイオキシンの発生やいわゆる環境ホルモン、地球温暖化、水質汚濁など地球環境に大きな負担をかけております。生命や安全な生活を守ること、すなわち美しく安定した環境を守り、これを子孫に引き継ぎ、循環型社会を築き上げることは、私たちが果たすべき重要な責務の1つであります。市民の誰もが、このまちに住み続けたいと思えるような都市基盤の整備をさらに進め、美しく住みよい環境都市の創造に努めてまいります。
 特に、都市計画街路事業、公共下水道事業、農業集落排水事業、合併処理浄化槽事業等につきましては、快適な生活環境を守るための重要な基盤でありますことから、引き続きその推進に努めてまいります。
 同時に、リサイクル・プラザや生ゴミのコンポスト化等も資源循環型社会の構築には必要不可欠でありますことから、建設に向け、広域的な取り組みの検討に入る所存であります。

 このほかに、物流の効率化や広域交流を支えるインフラストラクチャーであります高速交通体系、とりわけ日本海沿岸東北自動車道の整備促進と、上水道用水、農業用水の確保等水資源の高度利活用や洪水対策のための長木ダムの建設促進にも努めてまいります。
 また、これまで述べました「五つの創造」の円滑な実現のため、新しいインフラである高度情報通信基盤の整備にも取り組んでまいります。

 以上、市政の運営についての基本方針を申し述べましたが、今後とも議会の皆様と十分相談しながら、大転換期の市政の舵取り役として、全力を尽くしてまいりますので、これまで以上の御指導・御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

平成11年6月4日

秋田県大館市長 小 畑  元