大館市トップ市長の紹介所信表明(平成15年6月議会定例会)

所信表明(平成15年6月議会定例会)


 平成15年6月議会定例会の開会に当たり、議案の説明に先立ち、最初に、今後の市政運営についての所信の一端を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様の一層の御理解と御協力を、お願い申し上げたいと存じます。

 私は、市長就任以来、一貫して、地方自治の究極の目的は、「市民福祉の増進を図ること」にあるとの認識のもと、“大館のため”、“大館市民のため”を、自らのあらゆる判断の基準とし、名実共に兼ね備えた 県内第2の都市、そして北東北の中核都市実現に向け、これまで、各種都市基盤の整備に懸命に取り組んできたところであります。その結果、このような経済状況にもかかわらず、優良企業の進出に恵まれ、雇用の場の確保や、人口動態の減少予想値を下回る歯止め効果が出るなど、一定の成果を挙げることができたものと考えております。これも、ひとえに、議会、企業そして市民の皆様の、並々ならぬ御理解、御支援の賜と深く感謝申し上げる次第であります。
 時代は今、景気が低迷し先行きが不透明なため、閉塞感、手詰まり感が蔓延しております。しかしながら、このような厳しい時だからこそ、これからは、市民の英知を結集し、果敢に問題解決に取り組み、乗り切つていかなければなりません。そのため、まず、職員の意識改革の徹底と行財政能力の向上を図ることにより、市役所が、市民のニーズに的確かつ迅速な行政サービスを 提供できるようにしてまいりたいと考えております。そして、各種施策の推進に当たっては、議会に御相談申し上げ、議員の皆様の御意見、御提言を尊重してまいるとともに、市民の皆様との対話を心がけ、その声に耳を傾けることにより、来るべき分権社会にあっても、持続発展し「ゆとりと豊かさを実感できるおおだて」実現のため、全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。

 さて、我が国の経済は、昨年度、輸出が比較的好調であったものの、住宅建設や設備投資が大きく落ち込み、国内総生産の実質成長率は0.9パーセント程度、名目成長率は マイナス0.6パーセント程度に見込まれるなど、デフレ経済からの脱却は遅々として進まず、失業率や倒産件数も、戦後最悪の水準で経過したところであります。15年度も、国税収入は、前年度対比10.7パーセントの大幅な減少が見込まれるため、国では、国債を発行し財政運営に支障がないように対処しているものの、歳入の44.6パーセントを国債に依存しなければならないほど 財政が悪化しております。
 地方においても、今年度の地方債発行額は、14年度より20パーセント増の15兆718億円で、年度末残高は199兆円に達する見通しであり、この結果、国・地方合わせた長期債務残高は、GDP(国内総生産)の150パーセントを上回る700兆円を超え、先進諸国の中では、独り危機的状態となっているところであります。
 本市におきましても、これまで、立ち後れていた各種基盤整備や、国と歩を一にした景気対策に取り組んできた結果、債務が増加し、他の多くの市町村と同様、厳しい財政運営を強いられているところであります。さらに、今後、過去に発行した地方債の償還が増加することや、国が、地方の財源不足を救済する余裕が無い状態が続くことを考慮しますと、市の財政状況は、年を追うごとに、その厳しさが増すものと見込まざるを得ません。

 一方、私たち自治体は、平成12年4月に施行された「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」いわゆる「地方分権一括法」によって、機関委任事務制度の廃止を初めとして諸制度が改正され、国と地方の関係は、それまでの「上下主従」から「対等協力」の関係に変わり、中央集権型システムから、分権型システムへと大きく転換し、新たな地方の時代を迎えたところであります。現在も、政府の経済財政諮問会議の重点テーマとして、地方への税源委譲、国庫補助負担金、地方交付税の改革、いわゆる「三位一体改革」について、活発に論議されているところです。しかしながら、人口の少子化、高齢化の急速な進行や、国と地方の厳しい財政状況を考慮しますと、たとえ、市町村の側にも少なからぬ痛みが伴うとしても、地方分権改革は、推進していかなければならないものと認識いたしております。
 さらに、地方分権により、地方では裁量権と共に責任も増すことになるため、本市においても、国や県の通達等に依存してきた事務事業の執行方法や体制を改め、十分な説明責任の履行と、市政運営の一層の透明性向上などに努めることにより、「地方でできることは地方で」行えるよう、自治能力を高めてまいりたいと考えております。
 また、現在、進めております市町村合併につきましては、地方分権の受け皿づくりとして、また、大館が21世紀に大きく飛躍発展するための起爆剤として、避けて通ることのできない重要かつ時限的な課題であります。そのため、市町村合併に関しましては、今後も、議会や市民の皆様の意向を十分に伺いながら、後世に禍根を残すことの無いよう、慎重に、そして的確な対応に努めてまいる所存であります。

 以上のようなことから、私は、今後の分権時代における本市の市政運営の基本方針として、「市民参画による大館再生プラン」を掲げたところであります。地域社会とは、そもそも、そこに住む人々が、相互に助け合い、自分たちの地域を維持し、より良くしていこうとする「共助」を原理とする共同体であります。そこで、共同体を維持していくために必要とされる様々なサービスについても、それぞれの地域で、創意工夫の知恵やアイディアを発揮できるシステムを推進することは、個々の地域が活性化するだけでなく、市全体にも活力が生まれてくるに違いないとの考えによるものであります。
 言い換えますと、本市が、旧町村単位、いわゆる、中学校区単位のコミュニティの集合体であることから、個々の地域コミュニティである地区や、それを構成している町内会という地域社会を再生することによって、市全体の活性化を図ろうとするものであります。
 そのため、今後は、行政と市民、企業、NPO、ボランテイアそしてコミュニティ等が、それぞれの役割分担と責任において 新たなパートナーシップを確立するとともに、相互の連帯による サービスネットワークの構築や運営を促進することによって、地域経営の能力を高め、持続可能な地域社会を構築してまいりたいと考えております。
 「市民参画によるおおだて再生プラン」は、資料としてお手元にお届けいたしておりますので、詳しい説明は省略させていただきますが、これは、地域コミュニティの再生及び中心市街地コミュニティの再生による 地域再生プランと、本市の産業全体を活性化するための 産業別再生プランとを組み合わせ、さらに、再生プランの補完施策を盛り込んだものとしております。
また、この構想の根底には、大館が、将来、多種多様な地域によって構成され、各コミュニテイが 特色ある情報を発信するとともに、相互の共生と交流を促進し、例えば、街中(中心市街地)と田園に暮らす市民が、それぞれの魅力を共有できるような、そんなまちにしたいという、強い思いを込めたものであります。
 今後、具体的には、平成22年度までを計画年次として、平成13年度に作成しました「21世紀の大館総合計画」を基本とし、生活環境の整備と充実、地域医療や老人福祉施設、障害者施策の充実、子育て支援施策や教育の充実等、行政サービスの向上に取り組み、“子や孫に誇りを持って引き継ぐことができる郷土づくり”に、全力を挙げて邁進してまいる所存ですが、新規の事務事業の実施に当たっては、素案づくりの段階から「市民参画」の手法を取り入れるなどして、再生プランの実現を図ってまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、このプランは、議員各位を初め、市民、企業、ボランティア、コミュニティなど、全ての関係する皆様の御理解・御協力無くしては実現できませんので、なお一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 さて、我が国は、いわゆるバブル崩壊以降、失われた十年と言われる1990年代を経て、時代は21世紀を迎えておりますが、現在も、様々な分野で、その後遺症に苦しめられているところです。地方自治体も例外ではなく、先に申し上げましたように、多くの市町村が財政危機に直面しております。
 しかしながら、「危機」という漢字が、危険の危と機会の機から成り立っているように、危機をチャンスとしてとらえ、「危ない」と身を縮めているのではなく、危機感をバネにして古い体質を変化させ、積極的に解決を図ってまいりたいと考えております。
 また、新たな課題や前例の無い施策に対しても、それが大館市民の福祉の増進にとって 必要不可欠であると判断される場合は、危険やリスクを恐れることなく、果敢に挑戦し、責任を持って解決し、実現してまいる所存でありますので、今後も御支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、本市が、21世紀も、持続的に発展し、子や孫に誇りを持って引き継ぐことができる郷土づくりに、全力を挙げて取り組んでいくことを、改めて、お誓い申し上げるとともに、議員各位の御精励と議会の御発展を、衷心より御祈念申し上げまして、四期目の市政運営に当たっての 所信表明の結びといたします。

平成15年6月4日

秋田県大館市長 小 畑  元